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マラソン

2019/5/16

【全5回連載企画】Sonar Pocket eyeronさん「走る、その先へ」第3回 走る楽しみ十人十色

アーティストでありながら、アスリートの一面も持ち最高記録はフルマラソン2時間43分45秒(2017年大阪マラソン)。そんな二刀流アーティストSonar Pocket eyeronさんに「走る」をテーマに、その魅力やエピソードをお伺いしました。みんな誰もが初心者ランナーからのスタート。eyeronさんはどのように走る魅力に引き込まれていったのでしょうか。

第3回 走る楽しみ十人十色

――本日は、eyeronさんと、そのお友達の短距離選手、2017年世界陸上競技選手権大会 4×400mリレー銅メダリストの藤光謙司さんにお越しいただき「走る楽しみ十人十色」ということで走ることについて、いろいろお話を伺いたいと思います。
アーティストとスプリンター、お二人がお知り合いになられたのはどういうきっかけですか?

eyeron:共通の知人で短距離選手の和田麻希さんがSoner Pocketの京都公演に来てくれたんです、彼女から藤光くんもライブに来たがっているということをお聞きして。じゃあせっかくだからということで10周年記念のゲストということでライブ会場に来てもらいました。その時に一緒に仕事ができたらいいね、とは言っていたんですけど。

藤光:まさかこんなに早くご一緒できるとは(笑)。

――それでは、早速いろいろ聞いていきたいと思うのですが、マラソンと短距離競技。「走る」と言っても全く違うスポーツにも見えるのですが、お二人が感じている醍醐味を教えていただけますか?

eyeron:マラソン大会って音楽フェスと同じようなところがあると思うんです。今、CDの販売が伸び悩んでいるのに反比例してライブが産業になっています。それに参加する人って、感動だとか思い出にお金を払っているんだと思っていて。何万人、一緒に一斉に走るマラソン大会って「エンターテイメント」なんじゃないかと。地域によっても、いろんな盛り上げ方を工夫していて、ゴールタイムにこだわらなくても、いろんな楽しみ方ができます。なおかつ42.195kmを走ったら、人ぞれぞれに金メダル級の達成感や感動を得られる、そこに魅力があるんだと思います。だから人生の中で一度はマラソンを走ってもらうことをおすすめしますね。日常生活では絶対に得られない刺激なので。

――確かに、日常生活の中では「自分のためだけの時間」ってなかなか取れないですよね。

eyeron:走っていると何万人もの方に応援されるじゃないですか。地方の大会にゲストランナーで出て、沿道のおじいさんが、きっと俺のことを知らないだろうけど(笑)、ゼッケン見て「eyeron頑張れ!」って応援してくれるんです。それって音楽では届かない人に気持ちが届いているかもしれなくて。記録も大事ですけど自分も楽しむ、応援することも、されることも楽しむ、それがライブと似ているのかな、と思います。

―― 一方、トラックでタイムを追及する短距離選手の藤光さんはいかがですか?

藤光:走ること=陸上競技って、タイムを出す、大会で勝つ、そういった目標を達成するために計画をして、問題解決・改善を行っていく。仕事と同じようなものじゃないかな、と思っています。そういったプロセスを競技の中で、すごく学べているな、と。
たとえば、トレーニングもやればやっただけ効果が出ればいいですけど、効率よく成果を得るには、何を削って何を残すのか? そういった学びを日々得て、自分を成長させて、可能性を広げられる。「走る」という一つのことから、すべての事を学べるのが醍醐味だと思っています。

マラソンランナーとスプリンター、それぞれのトレーニング

――藤光さん、それはすごく孤独できつい作業かと思うんですが、一人で続けられるものなんですか?

藤光:僕は一人で練習することが多くて、トレーニングパートナーもここ数年いません。自分のことは最終的には自分を頼りにするしかないと思ってもいます。
だから、例えばこのメニューをやるぞ、と決めたとしてもその日の体調やコンディションにそぐわなくて、100%効果が出ないと思ったら、その場で変更します。

――なかなかマラソンをやる人達とは感覚が違うかもしれませんが、モチベーションが低い日もありますよね?

藤光:はい、モチベーションの低い日は練習しません。マイナスな気持ちをプラスにしていく作業が無駄なので。気持ちが乗っている時、ポジティブなときにやる練習が一番自分に返ってくる。なので体との対話の結果、2〜3日何もやらない、という日もあったりします。
僕は一日一日に小さな目標を持っていて「この感覚を得られたら終わり」とか「このタイムで走れたら終わり」とか。3本やる予定でも目標をクリアしたら1本で終わりにします。結果的に80%の達成度終わるのがベストですね。残りの20%を伸びしろとして取っておくことで、継続していくうえで余裕が持てるので。100%やることで、けがや疲労などのリスクを取るよりも、80%の達成度を確実に狙うという戦略です。

eyeron:まさに、俺も今まではがむしゃらにやって結果が出てきたんですけど。今2時間35分を切る、といういよいよ高いレベルに来ていて。確かに100%を続けていくと、気持ちが持たなくなっちゃうんです。夜中に一人で走っているし(笑)。メニューを消化できない、次の練習にも影響してしまう。そんなジレンマが出始めてきたのがまさに今なんですね。藤光くんの話を聞いて俺も8割で止めようと思いました。

道具へのこだわり

――ランナーとしてはシューズとか、ギアにこだわるのも楽しいとは思うのですがお二人は、自分の使う道具へのこだわりはありますか?

eyeron:シューズはミズノさんで足型をとってもらって作ったり、M.Lab(ミムラボ:オーダーメイドシューズの製作工房)でも作ってもらっています。最初はシューズもかっこよければいいだろうと思っていたんですが、タイムが気になり始めた頃からいろいろ調べたり勧められたりしてオーダーにたどり着きました。シューズに自分の名前とか入っていると愛着が湧いてきますよね。
最初の頃は膝が痛くなったりしたんですが、シューズをきちんと選ぶようになって、体も慣れてきたこともあってか、今ではケガは全くないですね。

――藤光さんはどうでしょうか?

藤光:僕も初めはオシャレを気にしていましたけど、そこから機能にこだわり、今は一周回ってまたかっこいいものに惹かれます。

eyeron:今やスプリンターのオシャレ代表だもんね(笑)。

藤光:僕も最初はスパイクとかすごくこだわっていて、ピンの位置とかミリ単位まで調整して、とかやっていたんです。でも、ウサイン・ボルトが、スパイクのピンが抜けていたままで世界新を出したりしたのを聞くと「そ、そうなんだ…」みたいな(笑)。
今ではその道具を使っていかに気持ちよく走れるか、が大事かなと思っています。あと、見ている人に「あのウェアかっこいいね」「シューズかっこいいね」と思ってもらいたくてこだわっているところもありますね。

eyeron:海外の短距離の選手とかってそういうところ、意識していますよね。タトゥーがすごかったり、それ必要?(笑)っていうくらいのアクセサリーつけて走ったりとか。それは確かに見ててとても面白いです。

二人が走る上でのライバルとは?

――お二人が競技を続けていく上でのライバルとか、重要な存在っているんですか?

藤光:基本は自分自身との戦いだと思っています。区切られたレーンの中で自分の力を出し切ることに集中します。
ただ、ライバルというか大きな存在として、ウサイン・ボルト選手がいますね。僕が一番最初に出た世界大会で、はじめて彼を見たんですが、次元が違いすぎて驚愕したんです。同い年でここまで能力を持っている人間がいるのか、と。
でも彼もそこから活躍するまでには怪我などで停滞する時期があって、僕も同じタイプだったので重なる部分があるなと。でもあそこまでのレジェンドになって引退した。乗り越えた壁と、成し遂げた偉業に心を動かされて以来、彼から何かを託されたような気持ちで今も競技を続けています。

eyeron:俺はアーティストではもう自分より早い人は出てこないんじゃないかと思っています(笑)。

――これ以上行くと芸能界まで範囲を広げて猫ひろしさんを追いかけることになりますもんね(笑)。

eyeron:猫さんにもeyeron迫ってきたなと、思ってもらえるよう頑張りたいですよね(笑)。まだ自分の伸び代はあると思ってやっています。
でも周囲のランナーってみんな仲間意識もあるんですけど、インスタとかでいい記録を出しているのを見ると悔しいなって思います。2時間43分で走ってから、みんな次々と俺の記録を破っているので、自分なりの準備をしっかり積んで、ターゲットレースで全員抜き返そうかと思っています。

――みんなの練習内容とか気になりますか?

eyeron:気になりますよ(笑)、でもみんなも俺の練習を気にしています(笑)。インスタに練習内容をアップしたら「それやってみました」とか。なんかもう走ることに限っては俺をアーティストとして見ていませんよね(笑)。ライバルかどうかという意味では、しっかり走っているランナーはみんなリスペクトしています。でも負けたくもない。そういう関係が励みにもなりますし、相乗効果もあって一番いいかな、と思っています。

走り出そうとしている人へ

――読者の中には走りだそうかな、と思っていて、一歩が踏み出せない人もいると思うんですね。あと、走ることに限らず、チャレンジすることに躊躇している人や、新しい環境に戸惑っている人に、お二人から言葉をいただけますか?

eyeron:やらずに後悔するより、やって後悔したほうがいい、ですね。
例えば僕の例なんですけど、この年齢になって「なんであの時に謝れなかったんだろう」「なんであの時にありがとうって言えなかったんだろう」とか思うことがあるんです。
Sonar Pocketとしてメジャーデビュー10周年を迎えての全国ツアーは、よりそう言ったことを行動で示したいということもあって。20代の頃って、「ありがとう」っていうことがダサいというか、察してくれよって思っていた時期もありました。でも、もし、伝えたい言葉があるなら恥ずかしがらないで欲しい。今は惜しげも無くみんなに「ありがとう」っていうようにしているんです。そんな風にやりたいことをやって、言いたいことを伝えてまっすぐ生きて欲しいです。

藤光:僕も本当にeyeronさんと一緒ですね。僕は中学生の頃、すごい何事にも消極的で、やろうと思っても踏み出せない人間だったんで、それをやっぱり後悔しています。
陸上競技を通してわかったのは、挑戦するということは自分の可能性を広げること。
何かを新しく始めることで、いろんな人が協力してくれたりだとか、輪が広がったりすることを実感しています。だから、興味のあることは絶対に一度試すようにしているんです。それが自分にとっていいものだったら続ければいいし、そうでなければやめればいい。そういう挑戦をして欲しいですね。

――お二人とも、本日はありがとうございました。

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