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マラソン

2019/8/6

フルマラソン完走に向けて取り組んでほしいこと「マラソン完走後の先に何があるかを考える」

フルマラソンをこれからチャレンジしようとする方の中には、「はじめてでも、なんとかなるだろう」と思っている方もいるかもしれない。だが、その考えはあまりお勧めできない。トレーニングもせずに、ぶっつけ本番で42kmを走り切るのは、実際のところ、かなりの苦痛を伴うはずだ。なぜなら、走り慣れていなければ、膝の関節や太モモの筋肉等を痛め、ゴールにたどり着けない可能性が高いからだ。そこで、マラソン完走のために取り組むと良い方法を、東京都港区虎ノ門にあるトレーニング施設「LP BASE 虎ノ門」専属トレーナーの青木豊氏に教えていただいた。


「LP BASE 虎ノ門」専属トレーナー 青木豊氏

マラソン完走後の「なりたい自分」をイメージする

――青木さんは普段、ランナーにどのようなアドバイスをしていますか?

マラソン完走後に自分がどうなっているのか良いイメージをするようにアドバイスしていますね。ゴール時の状況や気持ちを想い描くことで、モチベーションを高く維持することができると思います。
そのために必要なことが現状把握ですね。
今自分の走力やコンディションがどの程度か、フルマラソンに向けたトレーニングが開始できる状態かを知る必要があります。
目標と現状把握が具体的にできることで、フルマラソン完走に向けたステップを踏むことができます。

マラソンに役立つエクササイズ例

エクササイズ名:クワッドストレッチ
股関節の可動域が広がり、ランニング時に重心の真下に接地できるようになる。

エクササイズ名:ステップアップ&リーチ
地面を押す感覚と骨盤を引き上げる感覚をつかむことで、横ぶれの少ない安定したランニングになる。

エクササイズ名:ツイスティング
上半身をひねることで腕振りをスムーズに動かせるようになり、ランニング時に下半身が安定する。

エクササイズ名:スラックラインウォーク
片脚のバランス機能が上がり、ランニング時の横ブレを自己修正する力がつく。また、動的な体幹機能が向上する。

良いパフォーマンスを引き出す為に必要な睡眠と食事とは

――様々なトレーニングがあるのですね。これらは独自のトレーニングではどうにもならないのでしょうか?

そんなことはないと思いますが、それぞれ体の動き方に癖があったり、それが理由でどこかに痛みが発生していることもありますので、タイミングをみて、専門家に見てもらうと、パフォーマンス向上につながったり、故障がちなところが改善したりという効果は期待できると思います。

――では、これからマラソンを始めようとしている方が、普段の生活でやるべきことはありますか?

我々は本当のマラソン完走のためにはランニングトレーニングのみでは達成できないと考えています。トレーニング以外の所に伸びしろが沢山あることに気づいてもらいます。特にコストも掛からず取り組めるのが、睡眠です。
日中の眠気や不眠症などの睡眠の質をスクリーニングし、どこに問題点があるかを考えます。夜すぐに眠れるという人であっても、日中にかなりの眠気が出ているのであれば、睡眠の質や睡眠の導入に問題があることになります。
例えば、疲労を感じる原因が、寝る直前に食事をしたことで睡眠の質が低下したためであるケースがあります。疲労は運動強度が高くなくても感じることがあります。質の良い睡眠をとることも大切になってきますね。

―― 一般的に、必要な睡眠時間はどの程度となりますか?

一般の方で、6時間以上の睡眠が必要となります。遺伝子的に6時間以下でも問題ない方がいますが、全体の数%程度しかいません。長く寝過ぎることで疲労感が高くなる場合もあるので注意が必要です。我々は適切な睡眠時間をデータ化して、リカバリー力や調整力を高めることができると考えています。

――先ほど少し話に出ましたが、食事についてはどうしていけばよいですか?

夜勤の方、深夜に会食してから帰宅する方など、様々なライフスタイルを持った方がいます。ヒアリングによって、朝起きてから夜寝るまでのサイクルを把握していきます。たとえば、経営者の方など、睡眠時間が2、3時間という方もいらっしゃいます。日中の眠気によって集中力が切れて仕事に支障が出るようでしたら、改善する必要があります。入浴の時間や夜の食事の内容・時間までを確認し、何が問題点であるかを気付いてもらうことが大切です。昼食の時間が12時で夕食が21時である場合、その間に補食をしないと血糖値が下がります。間を空けてから沢山食べると血糖値が急上昇するので、その後、身体は体温上昇で興奮状態となって睡眠の質は落ちてしまいます。そこで気をつけたいのが入浴のタイミングです。夜寝る前に熱い風呂に入ると、交感神経が優位になって寝つきが悪くなります。体温が上がったことで、良い眠りができなくなるのです。寝る90分前までにぬるま湯に入ると、体温が低下するので快適に眠れるようになります。寝る前の食事と入浴や日中の仮眠のタイミングについてのアドバイスをすることでコンディションが整えられていきます。

手軽に実践できるパフォーマンス向上への知識

――ほかに、気軽にできることは何かありますか?

おすすめしたいのが、寝る前の習慣を変えるということです。本来であれば寝る前の1時間前、最低でも30分前にスマホを開くのをやめてみてほしいですね。夜にブルーライトなどの光を浴びるということが、人の体をおかしくしてしまいます。30分前に見なくなるだけで熟睡感が増して翌朝の目覚めが善くなるので、分かりやすい効果を感じることができると思います。あるトップアスリートがスマホを目覚まし時計にしないで寝室に置かなくなると、睡眠の質が物凄く上がりましたね。
朝については、「朝だよ」と交感神経に認識させた方が良いので、光や調光ライトを浴びることを勧めます。遠征で海外に行った時に時差ぼけ対策として、朝光を浴びたり、水を飲んだり、体操をすることも体に良いですね。

――これまで多くのトップアスリートを指導してきて、感じたことはありましたか?

20、30、35歳の時に体に大きな変化がある選手が多いですね。動きにキレがあった選手が突然動けなくなったり、怪我に無縁だった選手が肉離れを起こしたことがあります。そこから復帰するために、今までやってきたことを振り返って変えようとすることが必要になります。30代になると疲れが全くとれなくなる選手は、食事を変えれば改善されることがあります。5歳刻みで自分の体の変化に気付いて対応できると良いですよね。気付きがなければ、自然とパフォーマンスが落ちていくことが多いのではないかと思います。自分で気付いてから改善方法をきちんと身に付けることができれば、良い方向へ進むはずです。たとえば、三浦知良選手は、紆余曲折を経て色々試して、様々な気付きがあったからこそ、今でも活躍できているのではないかと思います。チャレンジと気付きがある環境があれば、一般の方でももっと伸びるはずです。

――ランニングを続けるためのアドバイスをお願いします。

ランニングやエクササイズを通じて自分で気付き、どこかで成功体験があると楽しくなって続けることができると思います。頭ではなく体で分かることができれば、体は凄く喜びます。快適に走れるようになると、気持ちも自然と上がるので素晴らしいですよね。

――今後の展望について教えてください。

フルマラソン完走を目指すランナーの方に対して、トップアスリートがやってきたノウハウや情報を提供していくつもりです。コンディションを整えることで、楽しく怪我もなく走りきることができたという充実感を味わってほしいですね。我々は多くのトップアスリートたちが体現したことを、一般の方にも還元しています。マラソン完走レベルからサブ3レベルの人たちの大事なレースに向けて、コンディションを一緒に上げていけるよう、サポートしていきたいですね。

文・写真:佐久間秀実

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