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マラソン

2019/9/19

真鍋未央(ランニングアドバイザー)が語る初心者ランナーへのアドバイス(後編)『うまくプログラムを組めば、3ヶ月間でフルマラソン完走を目指すこともできる』

学生時代から陸上競技選手として活躍し、高校卒業後には資生堂ランニングクラブに所属していた真鍋未央さん。現在はランニングアドバイザーとして指導にも携わる真鍋さんに初心者ランナーへ向けたランニングの“いろは”を聞いた。

三日坊主にならないような目標の立て方や、レースに参加するのに必要な準備など、これから本格的に走りたい人に向けたアドバイスを参考にしてみてほしい。

前編はこちら

初心者のみなさんに必要な準備とは…?

――今回は初心者ランナーが大会に参加するまでの準備について聞いていきたいと思います。いきなりフルマラソンは難しいと思うので、まずはハーフマラソン(20km)などで走ってみようと考えている人に向けたアドバイスをお願いします。

真鍋:そうですね。ハーフマラソンだけでなく、大会によっては10kmのマラソンもあるので、そこを目標にしてもいいと思います。練習で5kmも走れない人がいきなりハーフマラソンを目標とすると、これはハードルが結構高いです。もし、ハーフマラソンを目標にするのであれば、普段から15kmは走れるようになってから。週末に10〜15km走れる人であれば、ハーフでも自信を持ってスタートラインに立てるはずです。

――レースに出場するまでにはどの程度の準備期間を考えておくといいのでしょう。この辺りも、初心者だとプランニングは難しいと思います。

真鍋:フルマラソンでも、うまくプログラムを組んでいけば、3ヶ月間でも完走を十分に目指すこともできる範囲です。ハーフマラソンの場合は2ヶ月間くらいですね。あまり先の目標を立てすぎても間延びしちゃって飽きてしまいます。たとえば、1年後のレースに出ようと決めても、途中で『まだやらなくていいかな』と気持ちが緩んでしまいますし、半年後でもギリギリですね。それが3ヶ月なら集中力を維持できるかなと思います。

――準備をするうえで、気をつけなければならないのはどのような部分ですか?

真鍋:最近はシューズでもウェアでも、デザインが可愛いものを選んで買う人が多いですよね。軽くて走りやすい靴はたくさんありますけど、その中で自分に合うシューズを見つけるのは意外と難しいんです。

デザインで選んだものが、実はすごくレベルの高い人向けの靴だったということもあります。靴は自分の筋力に合っていないものを選んでしまうと、それが怪我につながってしまいます。今だと足のサイズや形を測定できるお店も多くなっているので、聞きながらしっかりと自分に合ったものを選んでほしいです。

――レースに向けて履き慣らしておくことも大切ですよね。本番になって初めて新品を使う人も多いかもしれません。

真鍋:大会当日に身に付けるものはなるべく普段から慣らしておく方がいいです。何着かお気に入りのものを選んでおいて、そこから当日選べるようにしておくのが理想ですね。素材によっては擦れたり、タイツがすごくきつかったりして、逆にストレスに感じてしまうこともあります。

――食生活では、どんなことを意識するといいのでしょうか。

真鍋:炭水化物はしっかり摂ることが大前提です。エネルギーになるものがないと脂肪も燃焼しないし、体重も落ちない。体重が落ちたという方に話を聞くと、炭水化物を完全に抜いていたりしますけど、それだとリバウンドしやすくなってしまいます。あと、走る上でのエネルギーとなるものがないと、体力がつかないので、練習も苦しくなってしまいます。

あとは筋肉をつけるためにも、鳥のささ身などのタンパク質をしっかり摂ることですね。ランニングをしていると、自然とヘルシー志向になっていって、揚げ物なんかもあまり欲しいとも思わなくなる。もちろん食べる時もありますけど、その回数が減っていきます。その辺りは体が自然に反応してくるので、それもランニングをしていてよかったところですね。

――最初は制限できても、どこかで食欲に負けてしまうこともよくあります(笑)

真鍋:でも、それは全然いいと思いますよ。無理して制限ばかりしてしまうと、何のためにランニングしているのかわからなくなってしまいますから。やっぱり、食事も腹八分目で、臨機応変にやれるのが一番ですね。

――水分補給も欠かせないですね。

真鍋:できればウエストポーチなどに入れておいて、10分に一回程度で摂るのがベストです。マラソンでも5kmごとに給水場所がありますし、これだけ暑い中だと30分くらい水を摂らないだけでもしんどいと思います。

『まだいける』と思って水分を摂らない人も中にはいるんですけど、この暑さだと本当に危険です。『喉が乾いた』と感じた時点で脱水症状の疑いがあるといわれているので、そうなる前にしっかりスポーツドリンクを摂ってほしいです。

――睡眠についてはどうでしょう。

真鍋:できれば7、8時間はしっかりと。睡眠不足では体も動けないと思います。夜十分な睡眠が取れない人は、どこかで30分でも仮眠することをおすすめします。

――それにしても、この夏は本当に暑いですね。走るには厳しい季節ですが、それでもあえて走るとすれば、やっぱり早朝や夜がいいですか?

真鍋:そうですね。夜でも相当暑いので、できる人は早朝の時間帯がおすすめです。私もその時間に走るんですが、本当に気持ちいいですよ。走れなくても、散歩するだけでもいいでと思います。

とにかく楽しむ。それに尽きる

――ランの指導では、どういったことを意識して教えているんですか?

真鍋:準備運動のストレッチがベースとなっていて、ランニングをする上で必要な体の可動域を広げたり、股関節を動かすことなどを教えています。股関節の動きって、日常生活では意識しないことですけど、走る上では欠かせない部分です。準備運動に30分くらいかけて、5分でフォームチェック、残りの2、30分ランニングというような流れです。

――体の使い方を知ることも重要なんですね。

真鍋:自転車で例えると、ランニングをしていない体は、チェーンが錆びて動かない状態。でもそこに、油をさすとスムーズに回り出すじゃないですか。そのメンテナンスが、ストレッチをするということです。普段は意識しないことだからこそ、意識してもらうように教えています。現代人はパソコンやスマホを使うことが多い。そうすると肩甲骨周りに知らずに力が入っていて、呼吸もしづらくなっていたりするので、そこをしっかりとほぐしておくと走りやすくなります。

――ランニングアドバイザーとして指導するなかで、走りを通じて一番伝えたいことはなんですか?

真鍋:とにかく楽しむ。それに尽きます。楽しくないと続かないですから。タイムを縮めるだけではなく、健康維持などのそれぞれの目標があって、もちろんその中で記録を追い求める人がいてもいい。ただ、みんなに共通して思ってもらいたいのは楽しむということです。私も楽しくなかったら走っていないです。

――それでは、最後に今後のご自身の目標を教えて下さい。

真鍋:産後明けてから、まだフルマラソンをやっていないので、そこには挑戦したいです。それから、私と同じようなお母さんたちが集まるランニング・コミュニティーを作りたいです。海外だとベビーカー押しながら公園内を走るような人たちもいます。10分でも20分でも子どもと一緒に楽しめることを集まってできるようなコミュニティーを作ってみたい。今まで考えたことのなかったことですけど、今はそういうのもいいのかなぁと感じています。

(了)

取材/写真 石川遼

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